丸亀製麺の「ゥドン!!」

USJを復活させた森岡毅さん率いる刀と提携している丸亀製麺。

その新たな一手として、ワンピースとのコラボが発表されました。

7月12日から8月31日までの開催です。

ワンピースの映画は人気が高いです。

2012年に公開されたFILM Zは68.7億円もの興行収入を記録しています。

丸亀製麺ではスーパーフライデー、SNS放題、手作り、できたてを訴求するCM、2杯頼んで1杯無料の納涼祭といった戦略が示されましたが、それに続くキャンペーンです。

戦略を練る森岡さんのすごさは、以下のプロフェッショナルでまとめられています。

素晴らしい出来で、森岡さんが勝つためにどれほどの準備をしているかがよくわかります。

チームを勝てる場所に連れて行く準備を徹底的に行う。

感情を排して数字に従いつつ、数字では補えない、目標達成に足りない残りの数%の可能性を埋めるために最大限情熱を注ぐ。

「数字に熱を込める」

と表現されています。

迷ったら、必ず困難な道を選ぶ。

まさにプロフェッショナル。その仕事への姿勢が詰まった珠玉のドキュメンタリー作品です。

一例では、進撃の巨人のDVDを買い込んで視聴し、太鼓の達人のゲームを買い、モンスターハンターを2800時間もやりこんでいる姿が描かれていました。

マーケターは「客の心をつかむ科学者」

才能がないから、勝つための努力を徹底的にやるとおっしゃっています。

そして、伸びしろがある分野を徹底的に分析しています。

そんな森岡さんという軍師を得た丸亀製麺が打ち出した企画が、ワンピースとのコラボなのです。

まずは「ゥドン!!」

丸亀製麺公式サイトより

うどんとワンピースの擬音で有名なドン!!を組み合わせ、非常にわかりやすいキャッチコピーに仕上げています。

これだけでも、ワンピースのことをよく知っていると伝わるし、知らなくてもうどんを想起させる秀逸なコピーです。

世界観に入り込ませる

ワンピースはUSJのコンテンツにもなっていますが、国内外にファンが多く、ファンの年齢層も幅広いです。おそらく、これだけでもワンピースファンは引き込まれたのではないでしょうか。

次に登場したのが、かき揚げです。

本キャンペーンでは、作品の世界観が楽しめるスペシャルコンテンツを多数ご用意。作品のキーアイテム『悪魔の実』から着想を得た「ニガニガのかき揚げ」、「カレカレのかき揚げ」といった限定かき揚げメニュー4種を販売するほか、対象メニュー(悪魔のかき揚げ)1点とお好きなうどん1杯をお買い上げいただくごとに、全21種の限定缶バッジの中から1つをプレゼントいたします。さらに、全20種のコラボデザインうどん札(クーポン券)配布など、思わず全種類コンプリートしたくなる、大人から子どもまで楽しめる企画でこの夏を盛り上げます。

PRTIMESより

メニューも「ニガニガ」や「カレカレ」など、ワンピーステイストをまとわせ、「悪魔の…」とヒットした「悪魔のおにぎり」をも想起させる工夫をしていると思います。

価格は一つ税込み180円。計4種類あります。

第一弾(7月12日~8月7日)

①ニガニガ(ゴーヤ、ちくわ、玉ねぎなどを使い、ほんのりした苦味)

②カレカレ(細長いポテトとにんじん、カレー塩で味付け)

第二弾(8月8日~8月31日)

③ツブツブ(コーン、枝豆、さつま芋をチーズ塩で味付け)

④イモイモ(紫芋と玉ねぎを合わせ、黒ゴマをたっぷり練り込んだかき揚げ)

PRTIMESより

食べに行きたくなりますし、何より、うどんではなくかき揚げにフォーカスしています。

これはカスタマイズの魅力に気づかせる商品戦略ではないでしょうか。

実際に行ってレビューしました。

さらには、食事をしたあとにもらえるクーポン券のうどん札でさえ、ワンピース仕様にしています。

20種類あるので、ワンピースファンは毎日通うことでしょう。

PRTIMESより

ファンなら何度も通いたくなる仕掛けをしているように感じます。

「職人」「カスタマイズ」とワンピースとのリンク

さらにすごみを感じたのは、過去の投稿で触れた「麺匠」「カスタマイズ」とワンピースとのリンクを打ち出した点です。

【ONE PIECEと丸亀製麺に通ずる、「正義」×「自由」】

『ONE PIECE』において“絶対的正義”として君臨する海軍。それは、己が信じる「正義」の名のもとに、民衆を守る使命を追及する誇り高き集団。その姿は、打ち立て・茹でたてにこだわった、“生きているうどん”を追求し続ける丸亀製麺の職人と通ずるものがあります。丸亀製麺では、すべての店舗で粉からうどんを打ち、本当のモチモチ食感を日々お客様に届けています。そこに懸ける想いは、まさに丸亀製麺の「正義」でもあります。

「正義」の海軍に対し、広い海で一番「自由」であること(=海賊王)を目指すルフィたち一行。自身の想いのままに突き進み、常に新たな世界への扉を開いていきます。丸亀製麺の「自由」は、できたてのうどんに好きなサイドメニューや具材をトッピングできるカスタマイズ性。メニューに富んだ揚げたての天ぷらや薬味、追加だしなど、お客様が好きなように選ぶことができます。“生きているうどん”を「自由」に楽しむ、これが丸亀製麺の楽しみ方です。

「正義」と「自由」。相反するものが存在する世界は、ワクワクしないわけがありません。
海軍が使命を全うする「正義」と、職人が“生きているうどん”を作るべく打ちたて麺に徹する「正義」。

そしてルフィたちの目指す縛られない「自由」と、お客様が好きなようにうどんを楽しむトッピングの「自由」。この夏、『ONE PIECE』と『丸亀製麺』が魅せるふたつの「正義」と「自由」を、ぜひ店頭で体験してください。

PRTIMESより

ワンピースファンならこの文章を読み、丸亀製麺にシンパシーを感じるようになると思います。

ワンピースという物語の文脈を活用することで、丸亀製麺の品質へのこだわりをなんとなく記憶に刷り込ませるという効果があるように感じます。

ワンピースを見るたびに、丸亀製麺を思い出すようになる。

こうしたPRの文章一つを見ても、徹底した確率思考の戦略論に従って仕上げられている気がします。

ワンピースを媒介とし、「正義」「自由」、短い二つのフレーズに企業理念を込める。

消費者が食事という選択肢で丸亀製麺を選ぶかどうかは、確率で決まります。

そのためには、選択肢に入ることが重要になります。入らなければ、選ばれません。

CMを見るか、通りがかって魅力を感じるか、誰かから薦めてもらうか…色々な事象が関連していると思いますが、話題のワンピースの映画を絡めることで、選択肢に入る確率が高まります。

さらに、ファンに向けたこの文章を加えるだけで、丸亀製麺が食事の選択肢に入る消費者は飛躍的に増えるでしょう。

アニメを見る子供のいるファミリー層、昔からの原作のファンという若年層など、幅広い層に絶大なPR効果があると思われます。

悪魔のかき揚げ1点と好きなうどんを頼んだ全員に限定缶バッジがもらえる企画もしています。

全員がもらえる、というのは嬉しい企画です。

PRTIMESより

こうした強いキャラクターを活用した期間限定でのコラボレーションは、USJでの森岡さんの経験が色濃く反映されているように思います。

スーパーフライデーはキッズフリー、ワンピースコラボはユニバーサル・クールジャパン…USJで打たれた数々の戦略を参考にすると、丸亀製麺が打つ次の一手が見えてくるかもしれません。

公式サイトでも丸亀製麺プロジェクトを紹介

刀の公式サイトでも、丸亀製麺のプロジェクトを紹介されていました。

停滞から成長へ、消費者から丸亀製麺が選択される確率を決定的に上げる焦点は何か?

刀がノウハウとして持つ「数学マーケティング®」は、今まで売上を構成してきたドライバーの数々と、それぞれの因果関係と比重を客観的にあぶり出す。

それら高度情報から目的を達成する確率が高い「大戦略」を導き出し、ブランドの再構築に着手。成果を予測する科学的アプローチでブランド価値を新たに再定義し、丸亀製麺チームと力を合わせて新しいマーケティングプランを開発実行した。

消費者が丸亀製麺を選ぶ確率が上がるように設計されたブランドが浸透するにつれて、ビジネスは確実に伸長し、わずか5ヶ月後には10pts.を超える既存店客数の成長にまで改善。

丸亀製麺のV字回復への第一歩を踏み出す。さらなる成長の継続に向けプロジェクトを進行中。

刀公式サイトより

ここでも確率の重要性が強調されています。

次はハロウィン…?かぼちゃのかき揚げもありますし…という安易なものではないと思いますが、稚拙な考察でも、USJと丸亀製麺を比較して考えると、森岡さんの偉大な思考が1ミリくらいはわかるかもしれません。

見当外れかもしれませんが、森岡さんの意図がいつか読み解けるように、丸亀製麺の戦略について考えていきたいと思っています。

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