モスバーガーに激辛メニュー登場

健康や安全のイメージが強いモスバーガーが一風変わった商品が5月23日登場します。

その名も激辛テリヤキチキンバーガーです。

右側が激辛テリヤキチキンバーガー

激辛と言っても知れているだろうと思っていたのですが…

辛さはハラペーニョの300倍

プレスリリースを見てみましょう。

世界最強クラスの辛さと言われている唐辛子『トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー』を使用した激辛ソースを合わせた“モス史上最も辛い”ハンバーガーです。原材料に使用している『トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー』の辛さは、唐辛子の辛さを図る単位“スコヴィル値で表すと約 146 万スコヴィルで、青唐辛子『ハラペーニョ』(約 5000 スコヴィル)の、約 300 倍の辛さとなっています。

モスフードサービスプレスリリースより

300倍とはかなり気合の入った数字。マクドナルドやロッテリアならまだしも、モスバーガーがこれほどまでに尖った商品が出すことに驚きです。世界最強クラスの唐辛子というだけあって、相当な辛さなのでしょうか。 トリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラーという名前からしておどろおどろしいです。

なぜモスは激辛とテリヤキチキンの組み合わせを選んだのか

プレスリリースにも一応、理由が書いてあります。

辛いものが好きな方に向けて、思わず試してみたくなる挑戦的な商品をあえて用意することで、SNS などでの盛り上がりや新規顧客の獲得を目指します。

プレスリリースより

挑戦的な商品とSNSでの盛り上がり、考えてみると、定番商品のイメージが強いモスバーガーは根強いファンが多い一方で、尖ったメニューが少ない印象があります。客層を広げる話題作りという意味合いが強いのでしょう。

激辛グルメを食べるのはTV番組の有吉ゼミでもおなじみ。食べた事自体が話題になってSNSでの拡散が見込めるし、友人や同僚との会話のネタにもしやすいです。真っ赤なソースが映える部分もあります。

他の理由は

いくつか考えてみました。

定番のモスバーガーでは辛い商品をすでに投入

2月には麻辣モスバーガーという商品を出しています。

プレスリリースがありました。

麻辣モスバーガー

すでに辛いモスバーガーはやっているし、新味がない部分があります。そういう意味でテリヤキチキンを選んだのではないかと。

食べ比べを狙う

今回、定番のテリヤキチキンもリニューアルします。

これまでにない新商品にも挑戦する一方で、1984 年の発売以来、ジューシーな直火焼チキンが人気を集めている定番商品「テリヤキチキンバーガー」(360 円)のソースをリニューアルします。現行のテリヤキチキンソースに比べて、チキンに絡みやすく、醤油の香ばしい風味がより感じられるソースに仕上げました。定番商品をさらにおいしくリニューアルし、既存商品の価値を高め、お客さまの満足度向上も図ってまいります。

プレスリリースより

激辛という変化球を投入すると同時に定番も強化し、テリヤキチキンのテコ入れを図る狙いもあるような気がします。複数で行った時は、「あなたが定番なら、私は激辛食べる」となりそうですしね。

他のハンバーガーチェーンとの差別化

マクドナルドにてりやきマックバーガーはあっても、テリヤキチキンはありません。そうなると、テリヤキチキンで激辛、というチキン好きへのアピールもあるのではないでしょうか。サラダチキンがはやってから、コンビニでも焼き鳥や鶏肉を使ったホットスナックが目立っていますし、競合するハンバーガーチェーンにないメニューを通じたチキン好きへのアピールがあると思われます。

オペレーションが簡単

これは激辛の部分になりますが、標準メニューに辛いソースを塗ればいいだけですから、店員はそれほど複雑な調理工程を求められません。導入がしやすく、既存の食材も活用できる点は、タピオカドリンクの拡大とも共通しているのでしょう。

モスの業績は苦しい

そもそもなぜモスバーガーは従来のイメージを覆し、SNSでの拡散や新規顧客の取り込みを狙う尖った戦略を取るのでしょうか。決戦説明会の資料を見てみます。

2019年3月期決算説明会資料より

特に純利益は9億円の赤字になっています。これは11年ぶりの赤字転落のようです。

この決算を解説したアサ芸プラスの記事がありました。

「『モスバーガー』では2018年8月に複数の店舗で食中毒が発生し、これによる客離れで赤字に転落したと分析する見方が多いですね。ただ、食中毒が起こる以前の14年から、通期ベースで客数が前の期を下回り続けているのです。14年にモスで何が起こったかというと、消費増税のタイミングでの商品の値上げ。さらに翌15年の5月にも値上げを行っています」(経済評論家)
「『モスバーガー』の売り上げが減少した原因には、食中毒と値上げの他に、もう一つあります。それはフランチャイズ(FC)加盟店のオーナーの高齢化です。モスはマクドナルドと違い、既存店の約8割がFC加盟店となっており、その大半を個人オーナーが務めている。その個人オーナーに高齢化の波が押し寄せており、店舗の老朽化も重なってなかなか新規顧客の獲得が難しい状況にあるのです」(飲食店コンサルタント)

アサ芸プラスより

食中毒は一時的な要因であっても、値上げは撤回しづらく、さらにはFC加盟店オーナーの高齢化は構造的な問題です。モス側ができる手段として、メニューを通じた話題作りはやりやすい手法であり、多少ブランドイメージと違うことをやってでも新規顧客の取り込みをせざるを得ない状況に追い込まれているとも言えます。

業績回復の起爆剤になるか

今やくら寿司でさえ、ハンバーガーでファーストフードチェーンに殴り込みをかけにきている状況です。SNSで話題になれば、広告費用をかけずに客足増加につなげられますから、SNSとの親和性が高く、オペレーションが手軽なメニューに力を入れるのは当然の戦略でしょう。その筆頭メニューがタピオカドリンクだと思われますが、そろそろモスバーガーにもタピオカドリンクが登場してもおかしくありません。

激辛に消費者はどのような反応を示すのでしょうか。辛いのはバーガーだけでなく、消費者のコスパ意識や外食産業を取り巻く環境の方なのかもしれません。激辛な結果にならなければよいのですが。

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